世間では、特に会社のような組織体では、それなりの地位を得た人物に対して、「あまり、俺が俺がと、出しゃばるな」とか、「自分の実力を過信しない、他からの高い評価に甘んじないで、常に後継者を育成することを考えよ」などと言われることが多いようです。
昨日は、かつて私が12年間を過ごした会社が創立50周年を迎えたので、記念行事の一環として歴代の社長が招待されました。
私は個人のオーナー会社の株式を公開することと、経営の安定化を図ることを課題として赴任し、概ね目的を達成して退きました。
情報サービスを主たる事業とする、全国組織のこの会社は、私の現役時代から、13年が経っていますが、社員数は約2千人と変わらず、歴代後継社長(私を公開会社の初代とすると今は6代目)の努力もあって、経営は安定度を増し、最近では株価も7千円を突破(公開時は千円を切っていました)、するなど、一応は好ましい経営状態になっています。
社屋も移転して、洗練されたオフイスを見学した後、歴代の社長と現在の経営陣との懇談の場が設けられましたが、席上で私の後継者の何人かが、お説教調で云いました。「君たちの優れていることは良くわかっているが、現役の内に、後継者を育成しておかなくてはいけないよ」など、など。
帰宅後、この日迎えてくれた社長や幹部5人に対して以下のような文言の手紙を書いて、今朝、投函しました。
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本日は、W社長のご配慮の下、素晴らしい機会をお与え下さいましてどうも有り難うございました。
久しぶりに、楽しいひと時を過ごさせて頂きました。
会社グループが堅実に発展し、存在感を増しつつあることを実感できましたし、且つ、久しぶりにお目にかかった皆様が数段も逞しくなられ、会社の柱としてご活躍されておられる姿を目のあたりにすることが出来たことで、心軽やかに家路につきました。
厚く御礼申し上げます。
懇親会の席上でも申し上げましたように、私のビジネス人生で、12年の歳月を同じ職場で過ごしたのは貴社しかありません。
意図的に会社を訪問することは避けておりましたが、「つて」を通じて出来るだけ情報を得るように努めておりましたから、皆様方の動静についてはある程度承知はしておりましたが、聞くと見るのでは大違い。参加して良かったと思っております。
一つだけ言わせて下さい。
列席の諸兄の前で私見を強引にひけらかすのは如何なものかと思い、少し遠慮がちの表現を取りましたが、「偉くなったのだから後継者を考えよ」とか「自分が出過ぎないで、部下を表に出せ」という意見には100%組みしません。
ましてや、ご自分の技量を後輩に伝えるための「OO塾」など、笑止というほかはありません。
そんな暇があるなら、お客様のところに出向いて、一つでも仕事を受注してくるべきです。
ご自分の今の地位を神様から与えられた天職と心得て、存分に自分の信ずるところ突き進むべきでしょう。
会社という組織体においては、社長も取締役も、それぞれの地位に応じての命令系統は異なりますが、所詮は「一兵卒」という意識で、持ち場の仕事に全力を尽くすべきだと思います。
限られた人生で燃焼できるのは(別に燃焼しなくても良いという人は別として)今の皆さんの立ち位置でしかないと覚悟したらと思います。
そのように申し上げるには、もう一つ理由があります。
人間は、意図的に、或いは、システマテックに教えても、教わる方は必ずしも期待通りにはついていかない、成長しない、生き物だと思うからです。
皆さんの本当の後継者になれるような人達は、皆さんから手取り、足取りで教えられるまでもなく、皆さんの背中から学び取ろうとしています。
自分が教えた通りにやってみる人は可愛いでしょうが、その人はコピー人間に過ぎません。価値のある後継者は皆さんの目には見えていないかも知れません。
何らかの理由で、後継者が必要になったときは、それを指名するのは社長の権限であり、責任です。
先ずは、自分の能力を存分に生かして、会社の売り上げと利益の増大のために、自分の今の能力を最大限に発揮して頂きたいと願っています、
暴言をお許し下さい.
平成30年7月13日 平戸 仁英
追って、
現在、私は添付の旅館の経営に携わっています。菱友の皆様にご利用いただければ有難く存じます。社名を言って予約して頂ければ10%割引をさせて頂きます。
謡と仕舞の会のホームページ(白謡会~柏陽会)にブログを書いています。
(通算1千回を超えました)
今日のことを近日中に書かせて頂くことをお許し下さい。
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ところで、私は白謡会の後継者については、毛頭考えることはありません。会員の全員の皆様が後継者だからです。